【創る側に立て。仕事も、人生も】| 稲盛和夫「21世紀の起業家精神」からひもとくこれからの起業家に求められる精神とは?
2025.04.16
目次
起業家精神の根底【創る側に立て。仕事も、人生も】

起業家紋:起業家精神の根底を表す日月紋(じつげつもん)をアレンジした印章
① 受け身をやめて、自分の人生の主導権を握れ
「与えられた枠組みの中でやる」
「誰かに決められたことをこなす」
という姿勢から脱し
自ら選び、自ら進む意思を持てというメッセージ
→ 人生も仕事も「誰かのもの」ではなく「自分の創造物」だという自覚
② 問題提起だけで終わらず、解決を生み出す者であれ
批判や分析、評論はできても、「創る」ことは別次元
この言葉は
「理想を語るだけでなく、形にしろ。動かせ。仕組みにせよ。」という挑戦でもあります
③ 現実は変えられる、という前提に立て
「仕方ない」「こういうものだ」と諦めているうちは、創る側には立てない
この一言には
現実は自分の手で変えられる、という立場を選び続ける勇気が宿っています
④ “仕事”も“人生”も、実は同じ原理で動いている
仕事=社会への価値提供
人生=自分の存在意義の表現
どちらも、「自分から何を創り、何を残すか」という構造で動いている
だからこそ、「創る側に立て」という姿勢は人生全体に貫かれる
⑤ 責任と自由を引き受ける覚悟
創る側に立つということは、誰のせいにもできない立場に立つこと
それは恐れもあるが、最大の自由と成長の場でもある
起業家として必要なのは、既存の秩序に依存せず、内なる信念と直観を羅針盤にして、未知を切り拓く“自由かつ高潔な魂”であること

自由かつ高潔な魂を持つ人のイメージ
◆ これからの起業家に求められる7つの要件(詳細)
――起業を目指す人へ贈る“未来を創るための条件” ――
① 自由な発想力(型にとらわれない創造性)
これからの時代に必要なのは「正解を当てる力」ではなく、「まだ存在しない答えを創る力」
誰かの真似ではなく、自分だけの視点から世界を見て、問いを立て、挑戦することが起業家の出発点

② 行動と実行の力(やりきる胆力)
どんなに良いアイデアも、動かさなければ意味がない
起業とは「夢を見ること」ではなく、「現実を動かすこと」
最初の一歩を、迷わず踏み出せる力が必要

③ 反骨精神と柔軟さ(バランスのとれた“無礼性”)
既存のルールや常識に対して「なぜ?」と問える強さを持ちながら、対話的に進む柔軟さも忘れない
礼儀正しくも型破りである

④ 高い志と“心”の成長
お金のため、名声のためだけでは、事業は長続きしない
大切なのは「自分は誰の、何のためにこの事業をしているのか?」という深い問いを持ち、人格を高めていく

⑤ 社会・地球・宇宙と調和する感性
桐生壽の提唱する“天命との共鳴”のように、自分だけの利益ではなく、社会や自然、宇宙の流れと響き合う感性が必要
「世界に何を贈るか?」という視点を持てる人が、本当の意味で支持される起業家になる

⑥ 継続の知恵(ゴーイング・コンサーンの視点)
良いことを始めても、続けられなければ意味がない
資金(収支)計画、仲間づくり、信頼構築――起業には、ビジョンだけでなく“現実を支える経営力”が求められる

⑦ 自己信頼と他者共創のバランス
「自分しかいない」という覚悟と、「一人ではできない」という謙虚さ
信じ抜く力と、託せる器を併せ持つ人こそ、リーダーとして真に輝く

▷ 最後に:あなたが「起業家」になる理由
起業とは、会社を作ることではありません
「未来にまだない価値を、自らの命で生み出すこと」
あなたの中にある「違和感」や「なんでこうなんだろう」という疑問こそが、起業家精神の種です
それを見捨てず、信じ、形にしていけるあなたを、未来は待っています

【稲盛和夫氏】の視点から見る「起業家精神」図表

【桐生壽氏(天果ビジネス創成学院)】の視点から見る「起業家精神」図表

二人に共通する深層のエッセンス
1. 自分で考える力(外のルールよりも、内なる声に従う)
2. 型にとらわれない自由さ(常識や模倣ではなく創造)
3. 行動し、形にする胆力(言葉や夢ではなく、現実を動かす)
4. 他人に頼らず、自らの責任で進む独立性
5. 高い精神性・人格・志

結論としての定義(再掲)
起業家に求められる精神とは、「内なる真理と信念に従い、自らの命で世界に新たな秩序を生み出す力」である
稲盛氏が語った“反骨と実行力”と、桐生壽氏が育てる“魂と共鳴する創造力”は、時代や表現こそ違えど、同じ「真の起業家精神」の異なる顔とも言えそうです。
【問い】理想論(精神)と現実論(経営)
「理想的で高邁な起業家精神」と「現実の経営継続(ゴーイング・コンサーン)」は両立するのか?
→ 答え 「精神がなければ継続できず、継続の視点がなければ精神は空回りする」
■ 1. ゴーイング・コンサーンとは?
「企業は将来にわたって、継続して事業を営んでいくことを前提にしている」という考え方。
収益を安定して上げ続け、従業員・顧客・社会に責任を果たし続ける必要がある。
起業家精神が「燃えるような志」「型破りな創造性」であるなら、
ゴーイング・コンサーンは「冷静な収益計画」「堅実な運営力」であり、これは“呼吸の両肺”のような関係です。
■ 2. 稲盛和夫の思想における両立の鍵
稲盛氏は精神論に見えて、実は明確にゴーイング・コンサーンを内包しています。
つまり、「精神の高さが、地に足のついた経営を可能にする」という立場です。
精神だけでは暴走しますが、精神がなければ続きません。

■ 3. 桐生壽の「天果経営」× 継続企業の視点
桐生壽の視点では、継続性とは単なる「経済的持続」ではなく
宇宙・社会・個人が調和し、自然の循環の中で続いていく経営という発想
つまり、霊的・魂的な起業も、地上での長期的な経営責任を見据えて設計されているということ

■ 結論:理想論ではなく「両輪論」である
高次の起業家精神(自由・創造・志)
+
地上的な経営継続(資金・組織・信用)
→ この両輪を回すことで、真に続く経営が可能になる。
理想だけでは燃え尽き、現実だけでは枯れ果てる。
だからこそ「精神の燃焼」と「経営の継続」は、同時に磨かれねばならない。
要旨 稲盛和夫「21世紀の起業家精神」
1.社会の崩壊期は再生のチャンスである
江戸から続く関西の起業文化は衰えつつあるが、崩壊の中に新しい秩序と事業の芽が潜んでいる。
2.新しい事業を起こす人物像とは?
自由な発想、行動力、実行力、模倣を嫌う独創性を持ち、反骨精神と知的野蛮性(知的バーバリズム)を兼ね備えた「無礼性のある人」。
3.京の文化に毒されていない地方に起業家は生まれる
歴史的にも、文化中心地から離れた地方からこそ革新が起きた。
4.心を高めることが起業の基盤
野性や反骨心に加え、人間性と心を磨くことが経営の成功に不可欠。
詳細 「21世紀の起業家精神」稲盛和夫 講演より一部文字起こし
続いて質疑応答です。
まず一つ目の質問は、「関西にはこれまで様々な事業が生まれてきましたが、21世紀に向けて新しい事業を起こす起業家精神とはどのようなものでしょうか?」というものでした。
江戸時代を含め、大阪などの関西地域は、商人の街として非常に活気ある事業活動が営まれてきました。その流れは明治・大正・昭和と受け継がれ、現代に至っています。
しかし最近の関西は、そうしたダイナミズムを失ってしまったようにも感じられます。
もともと関西には、社会秩序が崩れる中で新たな秩序の萌芽が現れるという歴史がありました。私が「盛和塾」を始めた理由も、崩壊しつつある社会体制の中で、新しい精神を持った若者たちを育てたいという思いがあったからです。
ある時、NHKの番組で、アメリカ西部の広大な森林で山火事が自然に任されている様子を見ました。昔は人手をかけて消そうとしていた火災も、今は自然の摂理に委ねるようになっている。それにより、焦土と化した土地に、新芽が生まれ、5年も経てば再び豊かな森が甦る。
この姿に、私は大きな感動を覚えました。
今の日本も同様に、社会体制の崩壊の中で、新しい息吹が生まれつつあります。では、そうした変革期に新しい事業を起こすには、どんな人が必要なのか?
それは、「自主独立の精神」を持つ人。つまり、自由な発想を持ち、明るく、行動力と実行力がある人です。
既得権に甘んじるのではなく、枠にとらわれない、自由奔放で創造的な発想ができる人。模倣を嫌い、ルールに縛られず、アウトサイダー的、いやアウトロー的な気質を持ち合わせた、言わば“無礼性”ある人物です。
「無礼」とはただの礼儀知らずではなく、固定観念や常識に縛られず、新しいことを成し遂げる気概を持つという意味です。
つまり、反骨精神と知的な“野蛮性”を兼ね備えた人こそが、創業型のビジネスを起こす力を持っている。
こうした人物は、かつての中国の歴史や、明治維新の薩長にも通じます。中央(京)の文化に染まりきっていない地方からこそ、知的で革新的な人材が現れるのです。
21世紀の今、再び関西にそうした「野蛮性」と「知性」を兼ね備えた人物が現れれば、関西の再興も可能だと思います。
ただし、そうした人物がルール違反を犯しては本末転倒です。だからこそ私は、「心を高める経営」を提唱しています。
人間性を高め、人格を磨くことで、創業者としての力が発揮され、企業も社会も真に良い方向へ発展していくのです。
起業家精神の根底の紋様について

起業家精神の根底:【創る側に立て。仕事も、人生も】 を表現する紋様
◆ 紋様の意味
【背景色:濃紺(深い藍)】
- 象徴するもの:
- 宇宙・叡智・精神性・静寂
- 深い内省と高次の意志
- 混沌の中から真理を見出す「場」
- 込められた意味:
- 表面的な光ではなく、本質と向き合う力
- 「起業」や「人生」を、流行ではなく魂の深層から創ることを象徴
- 太陽と月を浮かび上がらせる舞台としての宇宙の場
【左の円:赤い太陽】
- 象徴するもの:
- 情熱・行動・創造・実行力・生命力・現実化
- 社会的挑戦・自ら道を切り拓く意志
- 込められた意味:
- 仕事・行動・現実創造のエネルギーを表す
- 「自分で世界をつくる」という外への創造力
- 起業家が燃やす内なる火(志と突破力)
【右の円:白い月】
- 象徴するもの:
- 受容・感性・内省・静けさ・潜在意識・魂
- 夜・祈り・直観・無限の可能性
- 込められた意味:
- 人生・魂・内的成長の象徴
- 行動だけでなく、「聴く・感じる・育む」力
- ビジネスを魂の声から生み出す在り方
◆ 紋様全体の意味(統合)
宇宙の深み(濃紺)に、意志の太陽(赤)と、魂の月(白)が並び立つ――
仕事と人生の両輪を自らの手で創り出す者、それが“創る側に立つ者”である。